蟲対談「蟲籠」第七回 タマキチ

収録日6月12日(荒川土手 堀切橋付近
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思ったよりもまるで先に進まない蟲対談「蟲籠」。言い訳を言わせていただければ、結構大変なんです。時間が無くて・・・ごめんなさい。平謝りです。ひたすら・・・さあこの度ご登場のタマキチはギャルバンなんかやったり、イラスト書いたり色々多才に取り組んでおられるキグルミ・・・いやいや失敬失敬。先日も同じ蟲メンバーのTacさんの壁紙なんか手がけてましたな。実はあのキグルミの中は一体どんな“どす黒い”闇に覆われているのか?私は大変興味があります。もうかれこれ4,5年の付き合いになりますが、どうもしっぽをださない。同年代で、趣向もあんまりあってないお互いですが、それなりに噺はあうときていますので・・・「え?痲酔が一方的に話してる?」それは言わない約束で・・・お!タマキチさん痲酔にお土産を持ってきましたよ。バンビキャラメル?・・・・扉の画像がそれなんですが、如何にもいかがわしい・・・いやいや可愛らしい実にタマキチ(キグルミ)らしいアイテム。それを痲酔にくれるたあ、随分な嫌がらせ・・・やるじゃあありませんか?どす黒い闇が少しずつこちらを覆い始めてきましたよ。聞けば待ち合わせた北千住の駅で購入したご様子。

タマキチ(以下T) 最近バンド内で結構痲酔さん人気者ですよ。
痲酔(以下M) え?なんで?
T 「痲酔さん来ないの?」とか聞かれるので、「興味あるの?」って聞くと「あの人の文章魅力的だよね」って(笑)
M またまたいい加減な(照)・・・・。あの会う度「初めまして♪」って言うメンバーの女の子何て言ったっけ?
T ああフミちゃん。でも痲酔さんのこと言ってるのはマキちゃん。
M (苦笑)それはほんとにありがたいね。ところでフミちゃんはおいらの事憶えてくれたのかね?
T フミちゃんは会う人会う人、何回か会っていても顔憶えてないので。
M なんか失礼な言い方だけど、半径10センチぐらいしか視界が無い感じだよね。まあ可愛らしいってことだよね
T アイドル
M そうアイドル。まあおいらのキャラからして、マキちゃんに褒められた方が嬉しい。だから行きますよ。今度ライブ(http://d.hatena.ne.jp/virusdust/20040626)。ホントはギャルバンのイベント行きたかったんだけど。
T ああそうですか。
M 女性バンドはあんまり好きじゃなかったんですよ。以前は。
T そうなんですか?
M なんかさ。何とかして男勝りの感じを出そうとしてる人か、可愛い売りかしか無かった感じじゃないですか。今は自由な感じで見たいなあって。
T 多いですよね?
M そうね。数として多いですよね。だから盛り上がってる感じ。
T ああ。
M 基本的に女性の集団は怖いんですよ。私も一応男性ですから。うっかり殺されるんじゃないかって(笑)
T そこまでですか?麻酔さん、女性の友達が多いじゃないですか?
M それは女性と認識しないで、人間として認識してるからじゃないですかね?
T ああそうか。

ここでアイスキャンディが通る。アイスキャンディを食べたい的なタマキチキグルミ発言に痲酔は「あのアイス屋、フランチャイズなんだよね」と現実的な言葉。なかなかの混戦模様。あれ?あの目の前の芝生で行われてる競技ってアメフトだよね・・・アメフトってそんなに見ないから感動だね。なんてたそがれる両名。しばし休戦。

M おいら焼き芋屋になりたいんだよね。読んでる新聞とかをさ使って、売って「はい500円」とかさ。
T なんか似合いそうですね。

何処か奥歯に物が挟まっている会話。痲酔はさらけだしてるけど、キグルミの方がさあ・・・

M (対談場所を)何でここにしたの?ゆかりとか・・・
T 昔御墓参りとかでこの辺なんですよ。よく来てたんで、最近来てないなあって。
M もともとお母さんがこの辺の人なんだよね。
T そうなんですよ。何か機会があったらねえと思って。ノスタルジースポットなんですよ。
M そうか。おいらにとっては最近のスポットなんだけど。おいらは隅田川育ちだからね。
T ここは荒川ですよね。
M そう。江戸時代に隅田川が溢れるから放水路として出来たらしい。

江戸時代当初、隅田川は隅田川とは呼ばれていなかった。上流は勿論現在と同様、荒川であったのだが、土地により当地の人によって別名が付けられていた。下流の人には大川と呼ばれ、浅草の人は浅草川と呼んだ。現在荒川と呼ばれる川は東京を除く上流部は元来どおりの河川であるが、都内の荒川は人工の放水路である。現在の隅田川が本流である。補足ではあるが・・・・さて噺は戻ってキグルミVS痲酔。タマキチ亭、実は最近結婚した。お嫁さんである。そこら辺の私生活から闇を切り崩しちゃったりなんかして・・・

M 夫婦生活とかどうですか?
T (笑)夫婦生活。些細な喧嘩が多いですね。
M いいですね。夫婦生活の醍醐味っぽいですよね。
T そうですかね?
M 「多国籍軍が〜」「小泉さんが〜」とかそんな会話してる夫婦は厭でしょ?(笑)政治討論になって揉めたりとか・・・
T ちょっと厭ですね(笑)社会派な・・・
M 「あんたがこれここに置いたから躓いた」とかで揉めてる夫婦がいいですね。

どうも切り崩せないな・・・ここで京成線が通る。そうこの土手有名な金八先生のご当地なのである。あの主題歌が流れる後ろで先生が戯れる場所。具体的には川向こうに「金八土手」が聳えるてなわけである。近くには堀切駅がある。堀切駅は東武だが、京成の堀切菖蒲園駅も近い。後方には今話題の“北”でお馴染み北千住。最近丸井が出来たりなんかしてやるなってなもの。ちなみに丸井の反対?にはきたろーど1010という商店街が・・・OIOIの反対?が1010とは・・・・なるほど・・・いやいやきたろーどはずっと前からあるしなあ・・・ちなみに1010の読み方は・・・辞めた恥ずかしい・・・

M 気持ちがいいですね。対談なんてやってる場合じゃないね(笑)。
T (笑)
M 散歩の人が多いですね。犬とか猫とかかってないの?
T 猫とか昔は実家で
M 犬きらいなの?あの謙った感じが?
T 臭い
M ああね。おいらは猫アレルギーなんですよ。しかしここまで喋る事がない対談も珍しい・・・(突然)タマキチ君久しぶりですね。
T そうですよね。
M 昔はよく喋ったのにね。お互い年取りましたな(笑)
T (笑)30代はどうですか?
M 楽しいね。そんなに無機にならなくても良くなって。リアルな悩みが多くなってね。体力とか・・・
T リアルですね。

ダイブ攻め込まれてる。今読み返すと犬が嫌いな理由が臭いって、やっぱりどす黒くなってきてるのに、攻め込めてない痲酔ってなダメな野郎ですな。それも全て芝生と土手と・・・

T 最近私はあんま自分に興味がなくなりましたね。
M ああ、それ最近日記とか読んでると感じる。前は自分大好きだったよね?
T うん。自分は何考えて生きてるんだろうとか?そんなことばっかり考えてましたね。
M 率直な疑問なんだけど、おいらは自分に興味がなくなった経験が無いから判らないんだけど、それでも何かを表現したいとさせるものは何なの?
T 何なんでしょうか?対談っぽくなってきましたねえ・・・
M なってきたねえ(笑)・・・何かやりたいって気持ち?
T 何なんでしょうね・・・対談ぽくなくなってきた(苦笑)しなくちゃいけないみたいな気持ち。
M ふ〜ん。十代の頃は相手に喜んでもらいたいと思ってやっていた。自分はこんなに面白い人間で、それを楽しんでもらいたいという意識でやらなきゃだめだろて思ってた。ある時期それが弾けて、二十代は自分が楽しいって言い張ってれば、周りの人も楽しいだろうというのでやってた。20代はほぼそれだったね。今は「やりたい」ってのしかなくなった。
T 「やりたい」だけ・・・
M みんなを楽しませようとか、自分を楽しませようとかなくなって、ただやりたいってのが大事。やりたければやれば、みたいなのもなくなった。昔の自分は馬鹿だったなってのもなくなったね。
T おおらかだ(笑)何か日記を書かないといられなかったけど、今は書かなくても良くなりましたね。
M 日記って言えば、おいらの昔の日記って、形式が安定しないけど、形式に求めてる感じだった。実際にかっこいいかどうかは別としてかっこつけてる文章で、ちと指摘だったけど、今はインチキコラムって感じなってるよね。
T コラムっぽいですね(笑)
M あういう投げ出し方が出来るようになってきたのは自分としては好感触なのね。以前は詩的に変換されるまで、頭の中で追ってかないと書けなかった。今はエッセイって言うか、書き始めてから考えるみたいになってきた。思いついたことを書けるようになってきた。
T 昔は怖かったですもん。
M 今もサイトの色とかの関係で、まだ怖いとか思われるけど、だいぶ減ってきたね。
T ああそうですか。
M タマキチに最初に出会った頃、タマキチの投げ出し方って凄いなって感じたんだよね。
T ばあっと書いてましたよね。
M 割と全部が直結してる感じだったよね。
T 直結?
M “タマキチ”というキャラクターに準じた動きていうか、思考とというかスタイルも含めて直結してる感じがしたんだよね。プログラムどおりって感じがあって。かっこつけた感じもなく投げ出してる感があったよね。
T ああ。そうですね。
M おいらなんかは容姿が温厚そうだから、その頃「若いね」とか「穏やかだね」とかオフラインの知人には評されていたから、いちいち反抗してたんだよ。それがあの表現だったんだろうね。おいら月島生まれで、周りに江戸っ子が多くて、割とプログラミングされたみたいな人が多くて・・・チャキチャキっていうのか?喧嘩っ早くて、という気質に纏められるのが厭だってのがあったんだろうな。べたなのは厭だったんだ。で、暗い赤と黒のサイトになった(笑)。
T 反抗なんだ・・・
M どうしておいらが投げ出せるようになったかというと、全くおいらのサイトとか演劇とか見た事無い人からでも「麻酔君怪しいよね」って言われる事が多くなった。楽になったんだろうね。おいらの望む「己像」に評価が近づいてきたと勝手に思えるようになったのかなって。タマキチはそういうの無いでしょ?
T そうですね。結構みんなぱっとみて「ヤル気無いよね」とか(言われる)
M おいらも言われる。ヤル気無いって(笑)
T イメージは一貫してる。
M ギャップを楽しんでるとこもあって。「会うと穏やかなのに、書いてるものはギラギラしてる」みたいな(笑)。「玉ちゃんがこんなこと言うなんて信じられない〜」とかそういうのない?
T ありますね。ありますよ。下ネタ言うとひかれたり。でも言いたいときに言いたいし。
M そりゃそうだよね(笑)。そういう意味では更に磨きがかかってるってことだね?タマキチは。
T そういう意味で?
M キャラ立ちしてるとおいしいですよねってこと。
T ああ。
M 肩肘張って、邪悪でダークでディープでって感じでやってた頃は、後輩集まった時に「あやや、がね」とか言うだけで受けるのは楽しい。「最近どお?」って聞かれて音楽の話でもないのに「ミスチル聴いてるね」とかがギャグになるのはおいしいなって(笑)。実際聴いてなくても言うのは楽しかった。最近周りの人が慣れてきちゃったけど。タマキチは柔らかいところから下ネタとか言わないとギャップ出ないから負担はでかいかもしれないね。
T 負担?
M ひかれるって面でね。おいらは敷居高そうだけど意外に身近ジャンって思ってもらえる。
T そうですね(笑)。
M タマキチは5年くらいの付き合いになるけど、そういったことをうまく利用してる気がする。
T そうですかねえ。
M タマキチはとっつきやすいでしょ。だから入ってきやすいだろうなって。おいらのところは入りにくいだろうか。

結局何だか判らないうちに痛み分けに持ち込まれた感じ。え?痲酔の負け?どうとでもいいたまえ!え、いやすいません。タマキチさんから薦められた「ひなぎくhttp://www.imageforum.co.jp/hinagiku/という映画がある。この映画には度肝を抜かれた。実はその映画を見た時のショックがタマキチへのリスペクトに繋がっているように感じる。映画を観てない人には申し訳ないが、あの映画の感触が私のタマキチ感となっている。他には何もない。後は全てこの会話に集約されている。対談後荒川土手を上り、荒川遊園跡地近くで純喫茶に入り、食事。ノスタルジーだ。
「所詮とっつきやすさにはかなわない!」
そう思うなら思えばいいと思う。ただ、
「踏みつぶされたサラダだけをかわいそうと思わない人々に、この対談を捧げる」

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