愛のコリーダ2000

愛のコリーダ 完全ノーカット版 [DVD]
渋谷の街中の映画館シネアミューズで平日の夕方だというのに
観客は筆者を含め四名のみ。参拾代前半と思われる派手な衣服の女性二人組
とともに開演を待ちわびていると御年七拾はゆうに超えているであろう杖をついた男性一人が
静かに入場。
何となく四人ともそれぞれに目を合わせると暗転。

定番のCMもなく、本編が始まり、しかもいきなり濡れ場。
きちとその女房の丑三つ時の情事。さだはその様を覗見し、自慰にふける。
一応健全なる若い♂である筆者はなんの不思議も無く勃起する。
情感溢れるその映像に本能的エロティシズムを感じたんだと思われる
(いや思いたい)
本作は数多の濡れ場を登場させているが筆者の体が火照りを示したのは
このワンシーンだけであった。
次なるシーンからは何かが体内を這い回すような安堵的快楽に終始した。
苦しみ(というよりも痛い)の勃起から、解放された感覚が芽生えていたのだと思われる。
(いや思いたい)

サダが菜切り包丁を口に咥えたシーンに突入すると更なる肉体的(精神的?)変化は訪れた。
何と言うか無性に寂しくなった。
筆者は予め、以前に「愛のコリーダ」見ていたので、内容を熟知していたこともあってか、
いよいよラストシーンに差し掛かろうとするや我が肉体は嘆いているようなのだ。
肉体に記憶が反応する。同一の男女(さだときち)の繰り言のような性交渉を
二時間超にわたり、だらだら(?)と見せ付けられてきたのに、
もはやそれが無くては生きていけぬかの如く身体が疼くのであった。

男性器は切りおとされた。男は絞め殺された。
これが「愛」なのかどうかは知るよしも無いが筆者自信、あんな風に大切なものを
大切に思い、大切にする様に感じた。
だから痛いたしくなかった。
当然の事だと思った。
http://www.sankei.co.jp/mov/review/2000/lempire_des/