大河の一滴
雌からクローンが産まれるようになり、雄の存在は生命の誕生にとって
きっかけを作るだけのものに存在意義をくくられつつある。
流速が速いだけに、「大河の一滴」は多くの大河の一滴に
遭遇することはできない。
この大河に今日も雌にきっかけを与える雄と
新たな大河の一滴を生み出す雌とが入り乱れる
周囲の一滴に育まれ、一滴はすくすくと成長する。
でも一滴は一滴。周りに何滴あろうとも、一滴でしかない。
向こう岸でこちらを眺めてる一滴は何故こちらに来てはくれないのか?
そもそもこいつは無理な話だ。
でも本当は無理でも何でもないのだろう。
だって所詮は一滴なのだ。周りの一滴は別物なのだ。
周りの一滴があるために大きな滴に見えたとしても、
それは別物。怖がることはないのだろう。
この一滴一滴は大河を作り、やがて海に流れ出る。