痲酔ヤスタカ獨言第夜回「算術」(ウィルスダスト通信 「膿」  20

男はある女性に恋いこがれた。
女性には一回り上の旦那と丸々育った子供が2人。
女性は夜家を空けることなど、結婚して十年一度も無い。
しかし女性は友人の薦めで夜、外に出た。
男は十は若い。二十歳そこそこ。
友人を介して二人は出会う。

二人の付き合いは始まった。まだ接吻しただけだが女性の気持ちも男に寄っている。

男は言った
「貴方次第ですよ」

彼は無邪気にそんな言葉を吐いたのであろう。
自分のテリトリーに相手を引きずり込んでいるのだ。
保険をかけているわけだ。最後に見るであろう血への対策だ。
責任を問われなければそれで良いと思ってる。
これだから計算の立つ奴は怖い。
そしてその計算を計算していると罪悪感もない彼は酷い。
酷いけど仕方がない。自意識はないのであろうし。

あれ?
私は人の恋愛話を書いているつもりがいつの間にかビジネスについて書いているような
感じになっている。それこそ大罪だ。ビジネスも恋愛も混在してしまう彼は一体・・・

だから私はいつでも今居るこの場所を疑ってしまう。
私がやっていることを正当化しても仕方なく感じる。
間違っていないと謳っても、それは私の思っていることだ。
私が好きだと言うだけだ。それだけだ。
正解不正解ではなく好きか嫌いかだと思う。

結局私は計算もなくナチュラルに生きる。それだけなのだ。