駄樂 〜 痲酔ヤスタカ獨言(ウィルスダスト処方箋 「膿」 ============ 2002.05.25.VOL.13より)

「夜明け」

原動力は恋という枠組みのモノではないと思う。
そう信じたい。信じさせてはくれまいか?
価値基準が武力の時勢
偉くなりたくば、木刀をふるい、来るべく合戦に向け剣の腕を磨く。
それが男子として産まれたモノのさだめ。
そんなおり彼は非力の我が身を見いだした。
恐らく初めて異性を感じたのは姉。
姉が暴力を嫌悪し、武力以外での解決策を強く願う強い女性だったから。
フェミニストだったわけでもなく、ただ愛に正直だった。

幼少期、恋いこがれた女性の喜ぶ顔を望んでいたんだ
その恋は成就せずとも、愛として成立していたんだ。
そして、そのことに誇りを持っていたんだ。

その愛はきっと報われることはなかったけど
彼にはきっとその愛以外に生きる術は無かった。

だから体制を転換させられた。
そいつはちょっとしたオナニー。
一人の特殊なフェチズムが産んだ新世界。
新しい物語。

面白かったんだろう?笑えたんだろう?
みんなも自分も滑稽に見えてね。
でも血が流れたら笑えないからな。

誰も理解できない。
する必要もない。
しようとしてもいけない。
誰も踏み込めない。
決めつけてもいけない。
立ち止まることも出来ない。

新世界での新たな物語での
自分を演じ続けるだけ
立ち続けるだけ、
歩き続けるだけ、
ただ遠くで微笑みを浮かべるだけ、でいい。

何も解らなくともね。それが夜明けだからね。