さいたま

先日のパンクで大変なことを忘れていた。
パンク当日よこかわ氏と安楽亭亀有店で歓談中に一本電話が入った。
よこかわ氏とテンション高く盛り上がっていただけに
失礼ながら電話を切った
「あとで電話する」
電話の相手は大学時代のクラスにおけるたった一人の友人であり、
卒業後去年ばったり偶然に出会った人物であった。
その際に軽く電話番号交換をして、別れたのである。
その彼がどういう理由につけ、久しぶりに痲酔を思い出し
連絡してきたのにちょいと失礼であった。
にもかかわらず
わたしは例のパンク事件でまたまた記憶をふっとばし、
電話があったことすら忘れていた。
気がついた頃には深夜・・・というわけで後日連絡した。
しかしね。
こういう時決まってタイミングは合わない。
しかも昔の友人の突然の電話といえば、良い思い出がない。
例えば・・・辞めておこうか。
さてはて結局連絡がついたのは昨日12日。
彼は明日上京するらしい。
なるほど、それで電話というわけだ。
しかし油断は許さない。
なんで上京するのだ?彼は越後の人間である。
怪しい。
集合時間は21時と来た。
場所は上野・・・是は普通か・・・上越新幹線が止まる。
いやしかし、わたしに逢うためだけに来るというのか?
そんなわけはないが・・・まあいい。
さて21時。
上野は入谷口の路上パークに駐車し、
不忍口改札で彼を待つ。
彼は少し遅れてきた。ややほっとする。
時間帯から店は数多くが閉店時間となっており
空いてる店は満席だらけ。
フレッシュネスカフェが空いていた。
「一時間しか時間がないんだ」
と彼。え?どういうことだろう。
何も驚くことはない。
彼はこれから旅行に行くのだった。
「何処に行くの?」
「さいたま」
さいたまに行くのにどうして旅行鞄がでかすぎやしないか?
未だ疑う痲酔。
「さいたま?」
「イヤ違うよ。サイパン」
聞き違いだった。そりゃそうだ。それなら大宮で降車りるべきだ。
これから彼は成田に一泊、その後南国へ。
いいなあ。
「今度誘うよ。」
彼も三十路を過ぎ、いよいよ孤独を謳歌している。
生真面目な彼は人との相性を第一に考え、
やはりその辺りが原因で恋愛下手である。
わたしと彼は恐らく別次元の人間である、と彼は思っているのだろう
だから私と居ると腹が立たないらしい。
それで友人と決めている様子。
まあその辺りの基準はわたしがとやかくいうことではない。
彼は和やかな表情で京成イブニングライナーで上野を後にした。
また帰国の折にわたしに電話をくれた。
良い奴だ。かれといるとほっとする。