涅槃

かつて沖雅也さんの名言
「親父、涅槃で待っている」
で、すっかり世に定着した涅槃と言う言葉。
サンスクリット語ではニルバーナと言い、
おっとこれまたカートコバーンさんのかつてのバンドの名前と一致し、
ぐっと来ることこの上ない。
今日は夕方から横浜で後輩の結婚式であり、
世はバレンタインというかつてメリーチョコレートが仕掛けた
現在の数百億円ムーブメントがある
「女性から告白しても良い日」
という現代社会ではすっかり建前として落ち着いたチョコレートの日である。
しかも内の妹の誕生日であり・・・
とまあそんな日である。
しかし今年はバレンタインとはまるで縁がなかった。
職場の主婦から一個と妹から・・・結婚式の引き出物・・・
ありがたいが、例年にない不出来。
週末であり、平日とは違い、まあ仕方ない。
というわけで内容盛り沢山の今日は二日にわけてお送りします。

さて本題の涅槃。
我が母校日本大学豊山学園が位置する文京区音羽には
護国寺という真言宗豊山派の本山がある。
なに別段“ある”なんてものでもなく母校は護国寺の境内に存在し、
護国寺さんが大家さんなのだ。母校は借地、店子なのだ。
明治の御世、母校は宗教法人であり、豊山高校であり、
昭和に入り、日本大学が学校法人の名の元引き取ったらしい。
細かいことはどうでもいいが、そんな歴史がある。
そんな護国寺は徳川ゆかりのお寺であり、数多くの重宝やら
国宝だのが展示、貯蔵されており、更に大隈重信さんやら著名人の墓を
抱え、幼稚園を有し・・・・まあいいや私が説明するのもめんどくさいし。
その貯蔵された素晴らしい歴史的意義深い代物の数々の中から
この度母校に展示された掛け軸は凄いらしい。
名付けて大涅槃図と称されたその掛け軸は
100畳という巨大さ、母校の体育館いっぱいに敷き詰められていた。
偶然よこかわさんが母校掲示板で発見してくれたから知ることが
出来たもののこれ見れなかったら一生の不覚になっていたかも。
涅槃図というくらいだから、
当然お釈迦様が中央で横に成られて、周囲には豪華絢爛な寝室、
その周囲を囲む弟子、その周囲には名のある仏様、
さらにそれを数々の動物が見つめているお釈迦様の命日の
ルポタージュ的絵画である。
その巨大さはおそらく本国一ではないかとの触れ込みで
当然掛け軸とはいえ掛けることは出来ない。
重量に耐えられるはずがない。
262年前護国寺に寄贈されたものらしいから当然だ。
この度は昭和に入り二度目のお披露目で
実に20数年ぶりの解禁。
しかし、江戸時代にこれほどの紙をこさえ、
それで当時は掛けられたというのだから驚きだ。
理屈を考えても想像を絶する代物。
でもほんとはそんなことはどうでもいい・・どうでもよかないか。
よこかわ氏と痲酔はかつて本校に通学していたから
極日常的な風景であるはずの場所が
あの大涅槃図の前に立つとガラリと雰囲気が変わった。
なんというオーラだろうか・・・異様というか凄まじいというか
寺院に行くとこの感覚のミニチュアの様なモノを感じるが
いやなんと表現したら良いのか判らないほどの猛々しさ。
身の毛もよだつほどの武者震い・・・いや震え。
当日はとても暖かかったのに震えが止まらなかった。
わたしという人間の小ささを感じたし、
それは滂沱に近い。
護国寺本殿にて併催で他の涅槃図が展示されていた
巨大さもあろうが、大涅槃図は墨絵であるのに
その滂沱は他の色彩図と比べ、群を抜いていた。
横に飾られていた、大きな全刺繍を施された曼陀羅には
その技術の卓越を感じたが、大涅槃図ほどの滂沱はない。
というよりも技術が凄すぎてわたしには琴線に触れにくかったのかも知れない。
閲覧後母校の先生にお会いしたが、
いつも何気なく会話をする先生と妙にテンション高く会話が弾んだっけ
これも影響してるのかね?
能書きをもう一つたれると
この大涅槃図は世界的にも珍しく猫が描かれていた。
お釈迦様は猫嫌いで有名なのに何故と思ったが
どうやら作者が製作中猫を飼っていたらしい。
なんとも不思議な感じだ。

護国寺 http://www.gokokuji.or.jp/