血と骨

私は親父になったことがないから解らないけど、
男親にとって家族ってのはどんな存在なんだろう?
テレビが普及していなかった御世では、父親は家族にとって唯一の社会への窓口であり
最大の情報機関であったろうし、
銀行振り込みがなく、給料袋の時代にはスポンサーとしての面目もあったろう。
一国一城の主という響きが民主主義と共に独裁と名を変え、消失したのだろうか?
現実的には未だあるだろうし、何となく名残は残っている家庭はあるにしても、
父親を神のように崇拝しているなんてことはなかろうに。
親父さんは人間になってしまった。
いやいやもしかしたら人間扱いすら受けてない家庭もあると聞く。
ということは(急に本作の話題に入る)あれか、この話は前時代的で伝説的な親父像を
描いた作品なんだろうか?
今まで親父と家族を描いた作品は数多あったであろう。
柔らかい部類では、天才バカボンのパパと磯野波平あたりが東西横綱か、
やばい系だとダースベイダー、つまりアナキン・スカイウオーカーだろうか。
でもダースベイダーも最期はああなっちまうし、やっぱり親父っぽかった。
しかし、本作の親父さんはそれすらない。ないってこともないか。
娘さんが夫の暴力を苦に自殺した時、親父さんはちと親父さんぽかったかな。
でも元々の原因は親父さんの暴力から逃れるため、好きでもない人と結婚したから
夫がそれに気が付いての行動だったわけだよなあ。
奥さんが住む斜向かいに愛人を住まわせるから、やはり愛情過多な人だったんだろうか?
そうかもしれない。
ストレートに愛情を表現すると、どうしても暴力として表現しちまう手合いで、
だから周囲はどうしても目を背け、見放したから、親父さん自身も親父として
家族と接触できなかったのかもしれない。
真っ向から受け止めた愛人は病気になってしまったのも愛情過多が原因と考えられる。
その愛情の凄まじさに誰も理解できない。そりゃそうだ。
もう一つ執着していたのは金だけど、金とて、愛情表現の副産物のようなもので
親父として家族を養うために働くという理屈以上になってしまった。
でも私には何一つ解らない。凄い愛情なのかもしれないということは解るが
それがどうしてそういった行動になるのか解らない。
解るとは言えるが、実際には何も解ってない。本能的に生きればそうなるのか?
理解なんぞという後付の言い訳を考える私のような手合いは下の下と云うことか・・・
まあいいや。とにかくだからなんだ?ってこと。それだけ。
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