アーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005

東京に生まれたため、あんまり住居に対する期待はない。
逆に一戸建てに住んでいた幼き頃はマンション居住者を羨ましく思った。
マンションという現代の長屋は下町生まれのガキの憧れだった。
時は高度成長期からバブルにかけてなのに、このガキは「マンションに住みたい」と親にねだっていた。
親父は必死にマイホーム神話を信じ、一戸建てを購入したというのに。
当時の母は「あれは賃貸住宅で、一戸建てを買ったお父さんは凄いのよ」的な話を私に聞かせていたが、さほどの興味の対象に非ず、
「住まいに毎月お金を払うのは勿体ない」
と言っていた。でもね。
今考えると、固定資産税はとられるし、ローンだって30年以上払うんだから、一緒じゃないかね?
まあ違うのかもしれないが、現在の私も其の程度の考えだ。
では浅はかな痲酔少年は何故マンションに住みたかったのか?
幾つか理由は考えられるけど、当然高いところ好きだからってこともあろう。
当時から高所恐怖症の高いところ好きだったふしもある。
いや高所恐怖症というよりも、ガキの頃、高所恐怖症のそぶりをすると、
高所で突き落とそうとする悪戯を我が父は好んでワンパターンにやってきていたから
高所恐怖症のふりをすることで、高所に連れてって貰えるという方程式を編み出していた。
嫌なガキだ。だから現在でも自分のことを「高所恐怖症」と思いこんでいる
でも本当は目立っていたという理由が最もしっくりくる。
現在の如く賃貸でないマンションがこれだけ建ち並ぶ東京ではないのだ。
郊外に一軒家神話を信じ、建て売り住宅が建ち並ぶ中、マンションは団地と違い
町のランドマークとでも呼べる存在だった。
クラスの友人もマンションに住んでいる奴は何処か自慢げだったし、
近隣の老人に道を尋ねてもマンションを目印にしていた。
そんなに目立っているのに、近未来的な基地のような風貌で君臨する姿に惚れたのであろう。
そうそう雰囲気的にはハックの家だ。トムソーヤの。
二階建て一軒家に住んでいた私には狭い場所が好きなきらいもあったなあ。
マンションなんて入ったことなかったから、狭いイメージだったし、
ハックの家のイメージがつきまとっていた。
だからガキの頃の理想的な住宅を描く図画工作の夏休み課題には基地っぽいものばかり描いていた。
このころ既にドクタースランプを読んでいたから、未来の基地を再現しようと
近所の空き地に流線型の基地を建てられないものか四苦八苦した想い出がある。
更に、隅田川沿いのホームレスの家の乗っ取りも計画した。
その憧憬は今現在も消えない。カプセルホテルという名称もぐっときて、高校生の頃泊まってみた。
例え機能的でなくとも、狭くとも、最終的に鳥山明さんの描くような未来の住宅に憧れたんだろう。
それはウルトラ警備隊の基地にも通じている。
近未来的な基地的な長屋的なそんな家に住みたいなあって思っているってことだね。
という処でガキの思考ストップが巻き起こり、今はめんどくさいから、ホテル住まいがいいやなんて思っている。
そして流線型住宅は人間の体内を模倣して想像されているのではないか?
という感想を持ち、関心を持つことになった。とそういうわけなんだろう。
また前置きが長くなった。
ということで新年早々六本木ヒルズに行ってしまった。
都内は年末年始すいているのに、ここは混んでいる。
でもいつもの休み程じゃない。空いている。
しかしね。アーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005の開催されている森美術館に入館する為に
展望台のチケットもついていてしかも高価格なのは頂けない。
と思いながら、登っていったら、彼処の展望台は凄いという感想を持った。
あ、高いところ好きなおいらとしては喜ぶべき処だったと新年早々反省。
ホントに凄い。なんか模型の町みたいだ。
と今日はそっちが目的じゃないのに随分長いこと観ちゃった。
そしたら疲れちゃって、展覧会も凄い量だったから、ふらふら。
その凄い量で気が付いたがトランスフォーマーとかブレードランナーみたいに
全部が未来都市になったら、私はきっとトタンの家に住みたがるんだろうなってこと
目立たす静かに暮らしたいのに、町のランドマークに憧れるってのは矛盾っぽいけど
実はそれによってバランスがとれて居るとも言える。
流線型の家が立ち並ぶ、この展覧会は私にとって過酷の極みだった。
やっぱり隠れ家的な要素がないなあ・・・
私の言ってることは実に現実的じゃないなあ・・・がっかりだ。
でも楽しい。私には家は建てられないから、こんな研究を続けている人たちが居て
もし万が一金が出来たら、こんな家を建てるチャンスがあるんだ・・・あれ?
それって結局マイホーム神話ってこと?益々矛盾だらけだ・・・




http://www.mori.art.museum/html/jp/