ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう [DVD]
確か本作を観たのは高校生の時分だったから、かれこれ15年ほど前になるのか。
かなりのカルチャーショックだったと記憶している。
或る意味「時計仕掛けのオレンジ」を越える衝撃だった。
私はそもそもミクロな世界に関心があり、特に人間の体内という宇宙は神秘の極みであろう。
例えば、精液を顕微鏡で見ると、何と美しいことか、あれはまるで天の川である。
昔の科学者はこぞって空の研究をしたが、華やかな、肉眼で見える天空にロマンを感じるのも理解は出来る。
しかし、例えば私は海洋学部出身だが、海は恐らく徒歩が移動手段の大半であったいにしえに置いては
生活区に海がない人々にとっては無縁の世界。更に大地は余りにも身近すぎて目がいかなかったのか。
以前に東京の何処かで夜分に下記の如く質問した。
「今現在星が三つ見えるよね?」
「え?」
と言ったきり無言になったかな。暫くして
「月とシリウスは解るけど、後は見えないよね」
と応える彼。
ちなみに可視等級の高いシリウスを知っている彼ですら、この有様だ。
偉そうだが当の私だって、突然こんなこと言われたら見落としてしまうだろうな。
答えは・・・まあいいか。つまり大地を見落とすのである。
人間何処かで地面を観て暮らすことにいいイメージがないのだろうか
それとも空を飛べないという習性に劣等感を抱き、自ずと思いを天空に馳せるのだろうか?
生活区の大地ですら、見落としてしまう人間はやはり己のことは見落としがちだ。
己の体内に焦点を絞って科学は行われてはいない。
何かの本で医学は科学に比べると発展が遅いようだ。
ミクロの世界ではウィルスという蟲の方が遙かに進んでいると聞く。
確かにその世界で住んでる奴に叶うわけはないが、そんな事も言ってられない。
しかし、其処までミクロのことを知る必要がないからこうなっているんだろうから、問題ないんだろうが・・・
まあいいや。わたしゃ、医者でも遺伝子工学者でもないし、勿論科学者でも芸術家でも、宗教家でもないから、適当に書けば良いや。
と最終的にはこうなる。
さて本作に戻ろう。過去に観た作品をTUTAYAで発見したから、DVDを借りてみた。
ウディ・アレン作品で生まれて始めてみた作品だが、これ素晴らしい。
内容を紹介。オムニバス・コメディである。全7話
第1話:媚薬の効能
ハムレット」のパロディ。ウディは道化役。道化といってもギャグが滑りまくりで、実にかわいらしい。
父の亡霊にも何故か期待され、道化はどうやら王妃に思いを寄せている。
媚薬を手に入れ、王妃に呑ませる。即効だ。
しかし吃驚したことに、王が王妃の浮気を防止するため鍵付きの下着を着用させているから大変。
見事にしくじり、何も出来ないまま御用となる。
道化故のラストシーンが好きだ。なんとも道化だから話がしまらない。
から逆にしまってくる。
第2話:ソドミーって何?
デイジーに恋してしまった医師のロス氏。デイジーは羊である。
羊に恋に落ち、妄想でウールのセーターをなで、当然性交渉もなす。
そもそもこのデイジーは患者さんが連れてきた。
実はその患者さんもデイジーに恋しており、ロス氏職権乱用で横恋慕。
患者の相談は最近デイジーが冷たいとのこと。悩みにつけ込んだ形だ。
ロス氏は妻に浮気現場に踏み込まれ、医師免許も財産も剥奪される。
しかしそこは人と羊、コミュニケーションが取りにくい。
そうこうしている内にデイジーの元恋人つまり上記した患者さんが連れ去り
ロス氏何もなくなった。愛の果ての結果か・・・
しかしこの話。別段羊じゃなくても成立するよね。
だけど、これまた相手が羊だから話がしまらなくてしまる。
医師というきちんとした社会人が羊と恋に落ちるから、しまるんだろうな。
フリーターと犬じゃ、良い話になりかねない。
第3話 : エクスタシーは所選ばず
ウディ演じるプレイボーイがいい女と結婚。しかし夜の営みが経営悪化ときている。
いい女は床下手でというよりも萌えない。いや燃えてくれない。
どうしたら燃えてくれるかで、頭が一杯のプレイボーイ、
困った時は・・・と友人に相談するが、これまたダーメ。
とある日ショッピング中だか、なんだかで嫁の様子がおかしい。
不思議に思っていると、突然燃えさかっている。もの凄い。
露出狂ときた。ウディは格好良く、その場で抱く。
とこんな具合に「人に見られて」しか燃えない嫁に
「不感症よりは遙かにましだ」
とばかりに青姦し放題。なのに例え野外と雖も、
しっかり秘め事になっているのが凄い。
勿論公然猥褻で御用となるのはゴメンだからだろうが、しっかりデリカシーは持っているんだ。
秘め事は秘め事のままがいい。夜の仕事を昼間にやるからって、隠すべきである。
シモネタ好きな人がいるが、彼らだって、己のことは言わない。
どちらかといえば、一般的な話をする。
生は良くない。隠すから、萌えるんだろう。
いや隠さなくてはいけないモノを出している故のスリルが萌えるんではなかろうか?
第4話:女装の歓び
立派な紳士が娘の婚約者の家を訪ねた時、突然女装癖に襲われ、女装して表へ逃走。
しかし、外でうっかりひったくりにあい、警察沙汰に。
最初は必死に合わせ、女性のふりをするが、やがてばれて、大事になり、家族にも観られちゃう。
しかしそんな時の連れ合いが凄い。ってよりも偉い!
いとも簡単に許し、それどころか
「相談してくれればいいのに」
と来た。いい嫁さんだ。
私は女装癖が悪いとは思わない。病気だとも思わない。人と違うだけだ。
だが数として私の如くの考えの人は少ないだろう。
何しろ民主主義とプチ儒教精神の融合のような日本人資質という常識は
その基準線を越えるか越えないかにとかく目くじらを立てるようなので、社会的には分が悪い。
その状況で長く連れ添った妻が全てひっくるめて、許す様はとても素晴らしい。
第5話:これが変態だ!
突然モノクロのTV番組が始まる。所謂クイズ番組のようなバラエティ。タイトルもずばり安直に「私は変態」。
変態自慢だ。しかし変態ってなんだ?とか思ってしまう。
変態と世間で定義付けられているものは何なのだ?ってこと。
辞書によると
「性的な行為や対象が社会的規範から外れた行動や嗜好を示しており、異常な形をとって現れるもの。」
これみんなそうなんじゃないのかね?ノーマルだ。なんて人は何を基準に言っているのか?
例えば、それが犯罪に結びついたりすれば、法律で裁かれるから、変態とか決めなくても良いでしょうに。
人間は時に己と違う趣向を持ち合わせている他人に興味を持ち、何処かで尊敬したり、軽蔑したりしながら笑ったり落ち込んだりするのだろう。
尊敬と軽蔑は二律背反の如くで実に背中合わせな思考だろうから、
何処かその相違点に対する揶揄が生まれ、理解から開放されるのかもしれない。
「理解する」という束縛からの解放が揶揄なんであろうから、どんどんやればいいのかもしれないね。
だからお互いに理解なんざ無理なんだから、揶揄し合えばいいのかもしれない。
「女は理解するものではない。愛するものである。」
どっかで聞いた名言だそうな・・・
第6話:SFボイン・パニック
セックス学会の権威、バーナード博士を訪れたビクターとヘレン。
ヘレンはジャーナリストで、ウディ演じるビクターは助手志願の学者。
しかし、バーナード先生の学説はどれももの凄いものばかり。
とにかく間違っているという次元ではなくもの凄い。
更に学会からは村八分にあい、見返すための動物実験だ。
セックス学の権威だから動物実験といっても、ずばりモルモットは人間だけども。
で、二人ともそれらのモルモットにされそうになるも、見事脱出。
しかし、ついでに博士の豪邸も破壊する結果となり、
豊胸のモルモットとなっていた乳房が弾みで巨大化。大怪獣のお出ましだ。
危機的状況に警察のご助力もあり、巨大ブラジャーで対抗。捕獲に成功。
危機的状況の興奮状態で二人は恋に落ちる。アクションハリウッド映画の王道で終結。
しかし本作はセックスという実に解りやすい題材を主題としているが、
実際にはセックスでなくとも成立する話ばかり。
しかしシモネタだからしまらない。でも話はしまるという構成だ。
ここら辺が実に秀逸。しかしウディ先生が凄いなと思うのはその風景だ。
ここまでしまらない話なのに、実にお洒落。
第7話:ミクロの精子圏
場所は男性体内をコントロールする機関のようだ。
美女との性交渉を前に機関はフル稼働。
ウディ演じる精子は眼鏡をかけている。いいねえ。
初めての外界に対し、恐怖し、おののいている。
周囲の精子から励まされ、とにかく無事に出動。という話。
7作とも実に素晴らしい。
珍しく内容を追ってみた。やっぱりあんまり内容書くのは辞めよう。ハンセー!