conceit(錘)

吹き荒ぶ無機質なビル風が全身の穴という穴を通りすぎ行く。
現代人が産み出したホコリやらクズやらが風とともにやってきて
やがてはその穴をふさぐ。
息も出来ぬほどのこの暮らしのなかでも人類は走りつづける。
自発的に首をくくるかの様に。

やりようによっては幸せになれるはずのこの世の中で表情にも表せずに
山積した疲労感で愚痴をこぼして落陽をながメル。
冷ややかな朝、疲労困憊の闇へとその身を置く事を「自由」何て呼びながら
じとーと眺めている。

この疾走とも言える闘いの中で勝ち得たかに見える、何にも変え難き
「紙切れ」。
全てあのビル風に浚われている。
そしてまた闘い、勝ち得、浚われる。
この無限連鎖は全ての終焉を待つ以外、止めど無く続くのである。

だからね。
「うぬぼれ」よ。
どうかビル風に浚われない様に「錘」をのせておいてね。