jap(節理)

対岸に見える蜃気楼のような楽園への
掛橋は存在しないだろう。
楽園に辿り着きたい者はこの大河を
泳いででも渡るしかないのだ。
どうやって渡るかなんてさほど重要じゃない。
問題は対岸にいこうと試みる者が少ない事
なのだ。
こちらの生活において、愚痴を垂れながら
何だかんだ居住を続けていて、
対岸に渡ろうとするものあれば、
血相を変えて引き止める。
理由など存在しない。
運命共同体を増やしたいだけに過ぎない。
互いに足を引っ張りあって、
生活苦に喘いでいても、やはり、
こちらを選んでいる。
対岸に行けば、あーだこーだ言われるのは
明白なる事実であろう。
その様は掟のような節理のような。
対岸に対する憧れだけで、
破壊し尽くして生まれでた節理。
この大河を超えようとする事自体
拭いきれないほど罪深き行為かの様に。
重い荷車を引っ張り、その重さを競って、
序列を決める。
荷車を引かない生活が対岸にはあるかも
知れぬというのに。

つまり荷車を引かない事
それこそがここでは
罪悪なのだ。