アレックス
本作の感想には内容は書きません。知りたい方は公式サイトをご覧ください。
「時はすべてを破壊する」
筆者は思うのである。
筆者は本作を観て涙を流した。
筆者は賢者はこの世に存在し、己がその賢者に翻弄される愚者であることを悟った。
その筆者は思うのである。
確かに
「時はすべてを破壊する」
とは思うし、本作で語られてる事に異論はない。
本作のタイトルに使われているレイプされるヒロインの名前「アレックス」
この名は「時計仕掛けのオレンジ」の主人公と同じモノだ。
どうやらこれは偶然ではないようだ。
ギャスパーノエ監督自身が俳優の皆さんに企画を説明するとき
「愛のコリーダ」や「時計仕掛けのオレンジ」を引用したらしい。
筆者が暴力映画好きであることは当欄ご覧の皆さんはお気づきのことだろうとは思う。
暴力というのは金銭以前の価値体系だと認識している。
現在でも暴力が金銭を上回る価値基準になることすらある。
金銭も暴力の一種とも言えなくもない。
かなり乱暴なモノの言い方をすれば暴力以上の価値基準は見いだせないのかと思う節もある。
これ以上乱暴なモノの言い方になるのは嫌なので、ここは一つ「力」といい変える事にする。
筆者は思うのである。
「愛のコリーダ」は力を持って愛を表現したアベサダの話し。
「時計仕掛けのオレンジ」は力が一人の人間の快楽のによって行われる話し。
価値基準の用途が多様化された事実に気がつく。
愛や快楽を一つの価値基準として成立させるために力を使っているのかも知れない。
だとすると力に勝る価値基準を構築しようとしているのだろうか。
そして
ギャスパーノエ監督が実際どのようにお考えかは分からないが、本作は筆者には
力に対し、時間という破壊神を救いとしてさしのべたのではないかと。
もしかしたら全ての暴力映画は力以外の価値基準を見いだすもの、
いや暴力という価値観から人類を救おうとしているのではないか?
価値基準は恐らく現状では力なのだろう。
これは長い人類を省みても普遍のモノのようだ。
ならば、力を和らげるものとは一体何かという問いかけなのではなかろうか。
http://www.alexmovie.jp/