七星

刑務所の中」行ってきました。
今公式サイトで千円で見れる券を発行していて
かなりリーズナブルな価格で見れてご満悦。
今週いっぱい渋谷のシネクイントでやってます。
この「刑務所の中」、下馬評では
「刑務所に入りたくなる」的意見が多数しめていたので
かなり楽しみにしておりました。
実際、あんなに料理が旨そうな映画は見たことなかったし
(しいていえば時代劇の「鬼平犯科帳」ぐらいでしょうか。池波作品はほんとに喉が鳴ります。)
山崎努さんの語りがまた良かったので
自分もすっかり「受刑者」だったころと記憶の捏造できて
非常に良かったのですが、
さてムショ暮らしがいいなと思ったかと言うと
そうでもない。
理由は単純明快に一つだけ・・・煙草が吸えない。

全く洒落にならないと思うんですよね。
煙草が無くなったらと思うと、大川に身投げでも
したくなる心境ですから。ええ。

痲酔は誰が何と言おうと健康マニアなんですね。
亜米利加で流行のサプリメントとか
よくは知りませんが、
現代の例えば野菜ってのは促成栽培やらなにやらで
見た目は全く同じでもかなり成分的に過去のそれとは
似ても似つかないものらしいんですね。
だからってサプリメントが亜米利加で流行とか
言われちゃうと何だか天の邪鬼な性格を露骨に表現してしまう。
よって健康マニアだけどサプリメントをしっかり取るというわけではありません。

薬なんかも用法用量を守るわけがありません。
だって取扱説明書なんて読むわけ無いし。
養命酒はコップ酒の要領で飲むしね。
滋養強壮ドリンクは日課だし。
飯も食いたいときに沢山食べるし、
腹八分とか三食なんて食べるわけがない。
運動すると、躰が痛くなるのでしないし、
歩くかな。それなりに。
でも、車で移動した方が風邪引かなくていいし。
(やばい不健康自慢になってる気がする)

あっそうだ。
酒は飲みませんよ。
あんまりいける口じゃないから、
このさえ付き合いでも無い限り呑まない。

だからね煙草も健康マニアの名に恥じぬように
ちゃんと吸います。
一日三箱。継続は力なり。
前回の「キネマ」でもかいたんですけども
煙草を吸わずに耐えるためには体中血だらけに
ならねばならず、そいつは健康のために良くない
ってなわけなんですね。
耐える為に鉛筆やらで躰に傷つけちまう
そういった性分ですからね仕方がない。

痲酔はセブンスターを吸っています。
吸い始めのころは
親父の煙草でしたから「ハイライト」でした。
初めて煙草に出会った感想は
「大人は狡いな」
ってなもんでしたな。子供に禁止しておいて
こんな旨いものをと。
大人になって思うのはやっぱり未成年は吸っては
いけないなってことですね。
あんまり若い内からこんな素敵なものに出会うと
後での楽しみが減っちゃうからな。
吸いたいけど吸えないってプレイが逆にいいかなと
思うんですよね。今にして思えば。
で、色んな煙草を手に取りました。
カッコつけたい頃もやはりあって
「洋もく」やら「メンソール」やら
でも最終的には幼少期の思い出。

内の月島に住んでいた祖母がセブンスターでした。
どちらかといえばお婆ちゃん子だったので
着物姿で身長170センチの大正生まれ
女学校出で、八四年という生涯、一度も労働をしたことの無かった女である
祖母が火鉢に向かって煙草をやる様は実に日常的な映像でした。
西部劇でマルボロ吸うガンマンや
モデルさんがバージニアスリムやらイヴサンローランやらをやる仕草や
サーファーが丘でガラム吸うとか
道ばたの爺さんがしんせいや峯を銜え煙草する感じ
ホームズのパイプも含め
それよりも煙草の似合う状況が婆さんのセブンスターだったんだと思います。

確かにジャイアント馬場さんの葉巻や
吉原の花魁のキセルの浮世絵なんかはぐっと来ますが
めんどくさがり屋ですから
たまに葉巻とか買ってみますが、
キセルはちょっと現実的じゃないしね。
だからまあ婆さんとセブンスターなんだと思います。
着物にセブンスターはあうと思うんですね。
大正から昭和にかけて生きてきた感じが痲酔の中には存在するんですね。その情緒が。

どうしても東京って残されし江戸に目がいってしまう佇まいですよね。
残ってる江戸にどうしても一喜一憂してしまう。
鎖国という文化的に恵まれた状況にあったので
情緒も深いのかも知れない
だけど明治維新から数えても江戸時代よりもまだ時間が短い。
だからまあ近代から現代にかけての文化的進化は
そう日時の立ってないし、震災やら戦争やらで
なかなか思うように行ってないのもあるしね。
まだまだこれからなんだと思うんですね。
所謂情緒という面では。
どうしても過去は美化されて行くのだけど。
まあここは一つ長い目で見ようじゃないですか。
(やばい話がそれてる。この話はいずれ)

今でも自分の吸っているセブンスターから
いずる煙を眺めていると子供の頃の記憶が
その薫りと共に思い出されてきます。

煙草に点火すれば、すぐに戻れる古き良き情緒。
そいつを再現する必要はない。
「温故知新」を瞬く間に遂げる、痲酔にとって
なくてはならない存在なんです。煙草は。

まあどうでもいいですけども