過去のない男

過去のない男 [DVD]
筆者は久しぶりに初日の初回という映画館に足を運びました。
理由は二つ。
クレージーケンバンドの「ハワイの夜」という曲が何処で使われているかという事。
もう一つは後ほど。

恵比寿ガーデンシネマで行われていたので、当然あの人気ドギュメンタリー映画の
行列に並ばされ、ちょっと気分が悪い。筆者はもう観ちゃったからいい気なもんだ。
とはいうものの流石は公開初日。一番前のスクリーンに向かって一番左に座る。
流石に観にくいなあ。端は好きだけども。

本作はアキ・カウリスマキ監督の「フィンランド三部作」の内の「浮雲」に続く二作目らしい。
浮雲」といえば想い出がありまして・・・

お袋が生前確か偶然ケーブルテレビか何かでやってたので、自宅の病床から観ていたのです。
内のお袋は大のフォーク嫌い。生まれた年代を考えたら不思議なんですが、何やら
「貧乏くさい」
と毛嫌いしていました。TVを観ていても、このタレントは品がないだとか、貧乏臭いだとか
そんな事ばかりコメントする人だったのですね。
本作も同様ですがその「浮雲」もどちらかといえば我が国の価値観で言えば決して上流階級の
話しではない。出てくるキャラクターもどちらかといえば所謂「負け組」とか言われる方々。
筆者は初めて知りました。お袋は身なりや境遇の話しをしていたんではないんだと。
浮雲」絶賛してたんですね。ボロボロ泣いていました。
彼らは確かに全く貧乏くさくないし、寧ろ品がある。なるほどねえ。

と上記したのが、二つ目の理由です。

どこからかやってきた男、ヘルシンキに辿り着き公園で暴漢に殴られ記憶喪失に。
身包みはがされ、何処の誰やらわからないまま男は死亡確認を医師に受ける。
でも生きてる。医者を飛び出し、包帯ぐるぐる巻きのまま川辺で少年達に拾われる。
それから心ある人たちに助けられ、それでも人生は先に進む。

とまあそんな話しです。

劇場出て帰りに恵比寿駅で長いエスカレーターの平らな奴(あれなんていうんですかね?)に乗ったのです。
ぼうっとしてても、色々考えても、例え宙返りしてても、後ろむいていても、先に進んでしまう。
何だかほっとしましたね。だれでも進んで行くし、だれもが進む方に100㌫体を向けているわけじゃない。
http://www.eurospace.co.jp/kako/