チーム重金属第3回公演「県立飯綱森(いづなもり)高校篭球部」

わたしが実質的に立ち上げた
東海大学海洋学部演劇研究会の後輩
具体的にはわたしの一回下の熊代君が
現在神奈川県を中心に活動している。
この場合の活動とは
劇団内で演劇を創作している
ということであり、この度で3回公演と相成る。
ちなみにこのたびとは
本日神奈川県は横浜市相鉄本田劇場にて
公演を打ったと言うことである。
劇団名は重金属という。

この熊代という男、実に莫迦である。
白痴と言う意味ではない。莫迦なのだ。
しかし馬鹿馬鹿しくはない。不思議と。
そう言う意味では天才なのかも知れない。
妄想過多だが狂ってはいない

大人としては大変駄目である。
めんどくさいので説明を簡略化すると“きちんと”してない
と片づけれる。
例えばどういうわけか自転車をこぎながら弁当を食えるが
おにぎりは無理なのだ。
例えば目を離した隙に寝てしまう。

ある日彼の自転車が故障した
やむを得ず交通機関を利用することにした
しかし交通機関の利用には小銭が必要だ。
貧乏な彼はそこをけちる

徒歩を余儀なくされた熊代某。当然体力が減るとの計算はない。
ちょいと休憩にコンビニにふらふら
大食漢の彼は当然数千円のショッピングとこうなる
意味がない。

しかしなんだそのお実はつまりすなわちそのお・・・
熊代がそういった困った行為に及ぶことに関し
何故か周囲は寛大だ。
寝ようが風紀を乱そうが約束の時間に遅れようが
どういうわけか文句を言いながらも
どうもみんな許してしまう。
逆に愉快な気分にもなったりするから不思議だ。

話が横道に逸れた。
本題は公演のことである。

つまり
チーム重金属第3回公演「県立飯綱森(いづなもり)高校篭球部」
について。
簡単にストーリーを紹介すると
とある高校(県立飯綱森(いづなもり)高校)にはまあそこそこに
強いバスケットボール部があったが、
ある年突然廃部危機に。メンバーが集まらないといった事態を呼ぶ。
困ったキャプテン。何を隠そうこのキャプテンには
名門校のライバルが居た。しかもこのライバルが幼なじみでという
お決まりの設定に、
キャプテンに憧れる女子マネージャーも幼なじみ、
それら人間関係を取り持つ秀才の幼なじみもこれまたいいね
部員は後輩一人を抱えるのみで、このままだと廃部だ!と
教頭から宣告をうけちゃう
さあ困った我らが県立飯綱森(いづなもり)高校篭球部。
困った困っただが淡々とメンバーを集める
集めるって言ったって集まったあだけじゃ良くない
だーめ。勝てなくちゃ駄目ってんだから厄介だ。
巧い奴とか探せばいいジャンったってそんなに旨く行くもんか
世の中そんなに甘くない。でもまあいとも簡単に集まるわけです。
選出方法は生理的基準。
誘われ側、誘い側互いに舞台の中心に立つ。
すると未来の将来の彼らの勇姿が脳裏に浮かぶんだ!
って私が力説するところではない。

さてメンバーも揃い、いざ試合も簡単に勝ち、
順風満帆と言う言葉を此処で使わなければ何処で使うんだい?
ってな具合で進むかと思いきや、出来事だ。事件だ。

キャプテンがふとした事故に遭い急死。
其処から立ち直り・・・・判りにくいがそんな話である。

さあさ。わたしは思うのである。
本作演出は私の後輩熊代君だ。
熊代君の素行は上記の通り
私は熊代という男の魅力は人間の業を愉快にさせてくれることに
あると考えている。
わたしゃあ、人間とは駄目な生き物だと思っている。
業深きとも言い換えられる。
おっさんが若い娘をすきになっちゃうし、
ダイエット中でも腹減ったら飯食うし、
身体に触るほど酒を飲むし、煙草なんぞ害になるものを平気でやる
眠くなったら寝ちまうしね。寒かったら本心は動きたくない。
少なくもわたしはそうである。

熊代はそいつをモノの見事にさらけだす。
本来人間は駄目であっても教育や学習、常識などにより
それを押さえている。でも熊代は出しちまう
出さないと暮らせない性分なんだろう。
だがそいつを他者がさらけ出せない理由は
相手を不快にさせないためだとかそんなものである。
自分を不快にさせない為だとも云える
だが熊代にはそれがない。
この場合もちろん皆無ではあるまい。もちろん怒る人もいるだろう。
だがその絶対数が少ないのもあるし、
相手の不快に対する熊代と言う男の不理解もあろう。
だが熊代自身が困らない以上仕方あるまい。
意味がない。しょうがない。
だがわたしが思うに言いたいことは山ほどあるが
どうも許しちまう。
何故だかそうやって業をさらけだされることが
熊代だとなんだか厭じゃないのである。
うまくは書けないがこれは諦めとは違う感情だ。
其れ以上に彼との付き合いが貴重であるという類のものなのだが
生理的に許しちまうという説明が最もしっくりくる

本作恐らくは熊代個人の憧れの結晶であろう。
だが
熊代はあのキャプテンの如き死に様を望んでいるのだろうか?
死に至るまで熊代は熊代のまま死なれたのでは
どうも許せない気がする。
憧憬は理解できる。だけど、それじゃああんまりだ。
其処まで我々は笑って許してしまうのだろうか?

ちょっと空恐ろしい気がした。

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