YES オノ・ヨーコ展 東京都現代美術館

私の周囲には「オノ・ヨーコ」という氏名を聞いてアレルギッシュな反応を示す人が多い。
私の周囲に限らず「オノ・ヨーコ」さんは日本でも世界でもかなり知名度の高い方であろう。
ビートルズの故ジョン・レノン夫人としては余りにも有名である。
しかし私の周囲の人間は割合芸術家としての「オノ・ヨーコ」さんを知らない。
今日足を運んだ東京都現代美術館における「YES オノ・ヨーコ展」においても入場後間もなくその説明を眼にすることになる。
前衛芸術家としての国内での認知はここ10年くらいだそうな。
しかしそれはそれは世界では名だたる前衛芸術家なのだから不思議なものである。
「○○の妻」としての名前が大きすぎて、本職が隠れてしまうというのは珍しい。
しかもかなり高名な前衛芸術家の「オノ・ヨーコ」先生をもってしても
かのジョン・レノンの認知度にはまるで叶わない。
ジョン・レノンさんは死後に稼いだ収入が歴代二位とのこと。
ちなみに一位はエルビスプレスリーときた。
さいたま新都心に存在する「ジョン・レノンミュージアム」においてもオノ・ヨーコ先生の作品が拝見できる。
などとうんちくじみたことを書くつもりもなかったのだが、
書いちゃったので仕様がない。噺を戻す。
私の周囲には「オノ・ヨーコ」という氏名を聞いてアレルギッシュな反応を示す人が多い。
それは一重に「ラブアンドピース」であろうね。
形式なのである。形式的に幸せそうな輩に腹が立つし、
ジョン・レノンにあやかっているように見えるしってなもの。
ところがどっこいオノ・ヨーコさんは元々名のある前衛芸術家先生なのだ。
事実内容がしっかりあったのにジョンレノンと結婚し、
その内容が形式に覆われてしまった。
私は確かにお二人が放っている「イマジン」「ベットイン」WAR IS OVER」などに観られる「ラブアンドピース」な雰囲気は苦手である。
しかし、
それは二人をセットとして捉え、形式を観ているだけに過ぎない気がしてならない。
オノ・ヨーコさんの作品の魅力は私が思うに揶揄である。
ほぼ全般に渡り、揶揄で構成されている。
世間全般をからかい、からかいによる抑圧からの解放を目的としているように感じる。
例えば、作品の一つに真っ白いチェスがある。敵味方関係なくビショップもクイーンも関係なく真白い。
実際この白いチェスでゲームを始めるとあっという間に自分の駒なのか、相手のか、解らなくなってしまう。
判別できなくなる。
ジョンレノンと出会ってから、表に出てきた愛と平和。
しかし、オノ・ヨーコさんはしっかりと揶揄を続けている。
それがどうもあの幸せそうなお二人から発せられると
如何せん受け付けない人が出てきてしまう。
恐らく聡明なお二方は愛に溺れようとも其処まで理解できたであろうに、
何故あのような形式を用いたのかは解らない。
だが、間違いなくお二人の愛や平和、幸福はそのまんま真実であろうが、
表現として揶揄を用いているはずである。
それを見破れない此方側にもしかしたら拙い点があるのかもしれない。
ジョン・レノン氏が亡くなり、世界有数の知名度を誇る未亡人となったオノ・ヨーコさんは
その揶揄を続ける免罪符を手に入れたとも云える
揶揄は批判ともうけとられかねない。
しかしその免罪符により、誰も文句は言いずらくなった。
文句が言えないなら、逆にからかってやれってのが
「ラブアンドピース」にケチを付ける我々なのかも知れない。
だとすると、此方側の揶揄も見越しての行為
それが即ちオノ・ヨーコさんの現代に於ける揶揄なのかも知れない。
http://www.mot-art-museum.jp/ex/plan_h16-01.htm