Lost In Translation

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]
確かに東京は不思議な都市だ。
あるアメリカ人が
「マンハッタンが5つも6つもある」
と言ったそうだが、一言で東京と言っても
沢山の繁華街を抱えている。
貯金大国日本の経済のかなりを抱え、
人口も江戸時代の日本全国民と同じくらいいるらしい。
在住者も多いが、務めているだけの人も多い。
それなのにほぼ単一民族の街で、殆ど諸外国の人との接触はない。
当然ほぼ公用語は日本語である。
だから割と閉鎖的であろう。
世界でも有数の都市であるはずなのに、大半はYENを使うから、
ニューヨーク株式市場でも$、ユーロの次に来る。
何となくバランスが取れてないように観られても仕方がない。
宗教も曖昧だし、四季の移り変わりは激しいし、地震は多いし、
伝統的な普段着を殆ど着用しないし、
ブランドモノが飛ぶように売れる。
世界中の食文化を取り入れていながら
在る年齢に達すると和食という微妙な味覚に頼った食事をとり、
外国かぶれなわりにヒットチャートは洋楽が入っておらず、
その割に国内の映画は低迷している。
資源は沢山使うし、なんとも不思議なものである。
しかし
この見方はアメリカ的な感じがしてしまう。
この曖昧で微妙で不可思議なオリエンタルミステリーを
日本人は何処かで何となく理解し、バランスをとって暮らしているのでは無かろうか?
だとすれば
どの國に行ってもそれは同じこと。
アメリカのように伝統の少ない自由?の國には理解出来なかろうとも当然であろう。
「だからなんだよ?」
ってなもんであろう。
さて本作。
そんな建前とは裏腹に東京をズバリ云って背景としてしか表現されていない作品であろう。
東京の町並み、風土の中で生活に若干行き詰まりを感じた
映画に出演しなくなった映画俳優役のビル・マーレー
売れっ子カメラマンの若き人妻のちょっとした人生における寄り道。
それが東京という場所だった
パークハイアットというホテルだった
というだけ。
東京という異空間において、何となく成立した恋にも満たない
不倫と云うほど大袈裟でない、ちょっとした遊び。
東京はきっとそんな街だ。
いつの時代も。そんな全ての寄り道を許容するのだ
というわけではないのだけれど
何となくそんな造りになっていた。
実際どこでもいいのだけれど、
東京という街が何となく善かったように見えた。
しかし
私の生活エリアにはパークハイアットはないから
やっぱり
それはそれで非日常なのかも知れない。
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