ディープブルー

「痲酔はいいよな。文系だろ?」
私は高校時代に地学部という地球科学、地学を愛好する部活に所属していた。
わが母校にはプラネタリウムがあったことから、天文色の強い部活ではあったが
多少地球についてもとりあつかった。
私は高校進学の際、ある希望を胸にしていた。
幼少期は文学少年であったから、そりゃ文系には違いない。
だがガキながら、活字まみれの生活に鬱屈していたのも事実であり
精神薄弱となり、もともとの虚弱体質と合いまみれ体育会系は無理としても
いっぱいいっぱいであったのは事実で、ならば理系にその身を投じてみたくなった。
しかし文明にまみれた下町っ子としては人工物に対する憧れは薄く
ならばネイチャーだ。自然科学だとなり、での入部であったから、
当然理系に足を進めたいと考えていた矢先であった冒頭の発言。
しかも同部の先輩の発言であったから、青春期のショックは計り知れない。
ちと大袈裟だが・・・
私の理系に対する憧れは凄まじく到底向いているとも思えないまま、
大学も海洋学部海洋資源学科というなんともネーミングだけでは
何のことやらさっぱりな処に進学。
そもそも自然に対する憧れは都会人であることも理由としてあるだろうが、
文学というヴァーチャルに傾倒していた私にとってリアル感があった。
そう現在でも引き続いているが私には生きているという現実感がない。
自然科学とはそれら現実感と向き合い、科学していく学問であるように解釈していたわけだ。
でもまあ結局は畑違いが災いしとなるわけですがね・・・とほほである。
ただまあ、現実感はないにしろ、それなりに話としては理解できた・・・
ガキん頃と何にも変わってないじゃねえか・・・まあ仕方あるまい。
そんな現代人の私にとって、近いものほど遠くなってしまった。
やはり人間がもっとも現実感がない。残念ながら。
逆に宇宙なんざリアルに見たこともないくせに、遠い気がしない。
海もそうである。
本作品を見ていてそれが如実であった。
かえって感情移入しやすい。
いやこの場合分かりやすい。人間社会の方が遥かに難解で残酷であったとしても
自然の脅威にリアリティを感じる。単なる頭でっかちなんだ
つまり宇宙や海洋で生き抜く難しさの方が死に直面している分実に伝わってくる。
残念だが、私にはどうしようもない。
それでも31年もの月日生存という記憶がある以上、それでもいいということか?
そして安全とかってに決め付けた生活という船に乗り、
海の生存競争を高みの見物と嫌なやつを決め込むしか手立てはないのだろうか?
まあそうだろうが、一応もがいてみよう。
それすら厭味な奴の典型と言われそうだが・・・
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