2003年度卒業公演

今日はわたしの大学時代の同級生げんくんの誕生日だ。
彼はついに八歳。早いものである。するっていと常人の80歳が成人式とくる。おめでとう。
さてこの度の来静最大の催し我が東海大学海洋学部演劇研究会も
卒業シーズンを迎え卒業公演と相成った。
わたしが静岡を離れ、その後に入会してきた連中が卒業するという
なんとも感慨深いイベントだ。
いよいよもって来年度の新人は一回り下の連中・・・感慨も一塩である
さてこの度の卒業公演。毎年出来映えはともかく
みんな卒業論文という大学を修学する上での最後の砦を突破するなど
めんどくさい催しの最中に製作するというだけでも
見に行く価値があるとわたしは考えている。
我が劇研は三回生まで活動に着手する者が大半で
だからまあ一学年のみで製作する機会というのは公式には設けていない。
例外としてこの卒業公演ということになるのである。
更に四年間曲がりなりにも当会にて活動を行ってきた結末を見せるというものである。

さて一応当会は曲がりなりにも演劇研究会だから芝居の感想に入る。
一言で云うと大変お粗末である。
オリジナル作品であろう。内容としては
この四年間どのように当会と関わり、当会というものに対する認識を余すところ無く描いた作品ではあった。
カツゼツが悪いとかホンの構成が良くないとかそんなことではない。
そもそもそんなことに期待は寄せていない。
冒頭、まず二人の男が全裸になり、競泳を始める。
つまりスポーツ根性物に対するからかいであろう。
そして一人の男が勝利し、舞台はエンディングとなる。
エンディングロールがパワーポイントで流れいざフィナーレ・・・
となるところ一人が苦言を呈す
「これで終わりじゃあんまりだ」
本編は続く
普段着にしてもあまりにあまりある衣装からは想像できないミュージカルがスタート。
いやミュージカルに対する揶揄がスタート
みんな謳えばハッピーエンドとそういうわけだ。
しかしまあなんというかそれでもいまいち終わらない
閉まらない。何しろこの手は出演者一同苦手とするところのような空気。
仕方なく文学作品に光を求めることにする
朗読劇に様変わり・・・いや朗読劇に対する揶揄に様変わり。
題材はヘミングウエイだ。「老人と海」
やがて内容はヘミングウエイの母性や自由についての討論となりだが
これもいまいち閉まらない。
結局なんだ。閉まらないのか?と思いきや
じゃあもうこのまま行こうかとなったその時・・・いやいや劇研が居るじゃないか。
劇研に我々の末路を締めてもらおう。追い出して貰おうという
何というか青春臭さ丸出しの展開となり、
客席の現役生達が歌い出し、こうなりゃ客も巻き込んじまえとなり
東海大学演劇研究会のテーマソングまで造り、立つ鳥後を濁しまくりで
終演となる。
結局ナンダカワカラナイがまあ終わりが「良い」感じならば
内容なんてどうだって良いじゃない。
感動した感じが必要であってさ、どうせ素晴らしいなんてわかんないし。
てな具合であった。
悪くない。おいらはこんなの好きでもある。
結局何というかね。
詳しくは知らないが現代社会はマーケットインであるらしい。
プロダクトアウトの時代は終焉したとは言い難いが、
やや古めかしい流れに取り残された感は否めないらしい。
大量消費社会は幕を閉じ、客のニーズに合わせたマーケティングを
求められた社会である。らしい。
あくまで“らしい”なので信用されても困る
わたしはその手のプロでも先生でも知識人でもないのだから
適当にそう思うだけだ。
物を造り、市場に流し、審判を問うのではなく
顧客からニーズを聞き、アドリブ的に其れに合わせた物造りをするのは

現代的であるといえる。とは思う。
しかしね。
その物が単に“それっぽい”というコスプレ的な状況を脱し切れてなかったら
やっぱり厭だ。
確かに“コスプレ”という題材のドギュメントなら判る。
若しくは“コスプレ”を極めるという芸であるなら大いに見たい。
そう言ったそれっぽさに対するからかいも良いだろう。
しかし、どうも何というか
それだってね。“それっぽさ”を真っ当に構築して初めての揶揄であろうに。
だけどまあ結構好きだったな。
あの半端な感じはわたしが思う彼らを如実に象徴しているように思えた。
彼らは劇研が大改革されている最中に入会したチルドレンである。
だから一体何が本当で何をやりたいのかということを
アドリブ的に決めていくしかなかったのであろう。
マーケットインという用語の意味はいまいち分からないが
彼ら卒業生は我々から見ると物足りない現代なのだ。
それが悪いとは思わない。寧ろ粗末である方が彼らとしては本当なのだ。
いや彼らが粗末なのではなくて、彼らを取り巻く環境が常にリアルでないという現代に対する揶揄なのであろう。
だから彼らは彼らにしか作れないものを作ったという意味では評価できると
わたしは思っている。

東海大学海洋学部演劇研究会http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Himawari/1192/