アイドリングストップ花歌マジックトラベラー「夏の夜の夢のよう〜朝が来る前に妖精を消せ〜」下北沢駅前劇場

時折こんな私でもたまには良いこともあるなあと感じることがある。
殆どのその対象はほんの日常的な些細なことであったりする。
屑箱にゴミを投げ、見事に入ったり、其の程度である。
もう少し規模を広げると、観たい映画が面白かったり、
何のきなしに立ち寄った温泉が心地よかったり、
でも其の程度。いやいや程度として私の人生の中でかなりのグレードのものである。
そんな私でも宝くじに当たったなんてものは凄いことだけど、
やっぱり喜びとして・・・大きいなやっぱり・・・
まあいいや。
そういったジャンルとは違う喜びがこの日はあった。
丁度一年前「えろきゅん」で人気のエロ短歌女優川上史津子さんがご出演するとご本人から
告知があり、一度見てみたかったからチケットをこれまたご本人に申し込んだ。
劇団名はアイドリングストップ花歌マジックトラベラー
しかしまあ何というか色々と紆余曲折があって、
もぎりが足りないので手伝ってと川上女史から直々のご依頼が痲酔にあり、
当然引き受けた。もぎりの仕事の最中にこっそり芝居を観て良いとのことだし、
簡単に引き受けたわけである。
面白そうだしね。
で当日。大盛況で超満員。下北駅前劇場。
で、観れなかった。残念ながら。
我々もぎり一同(JJポリマーの成田氏もいた)はまあ公演中に受け付け付近で色々語らった。
芝居もはねて、打ち上げにも参加。色々楽しい思いをさせていただいた。
そして一年後。
川上女史から、芝居に招待してくれるとのこと。
去年観れなかったから、是非に今年はと大変良き席にて拝見することとなった。
有難いじゃありませんか。
そんな一年前ちょこっともぎりを手伝った男に招待券を呉れるなんざあなんという美談だろう。
嬉しく思う。
というわけで拝見した。
昨年は何となくその日限定で中に入っていたから、
今年初めて舞台を見て正直驚いた。
昨年の経験からか、劇団という空気というか一体感って
こういうことなんだと痛感した。
芝居って興行なんだなってつくづく感じた。
座長さんやら演出さんやら作家さんやらの世界を構築するために
様々な手を使い、共に表現する空間。
これを商品としての興行。
決して良い作品を産み出すためだけの組織ではない。
良き作品は当然で、更にこの興行全体のありとあらゆる配慮が
鏤められてこそなんだなと。
客を夢見心地にさせ、関係者一人一人の夢を一手に背負うのが組織であり、
それを劇団は叶えていくのだろう。
本来の劇団の仕事ってのはそういうことなのだろう。
演劇というジャンルそのものの社会的な意義というのはもはや
殆ど消え失せてしまったのかもしれない。
だが、その箱に収まった人間の夢を何処か叶えてくれる集団というのは心地よい。
そういう意味での意義はあるのだろう。
やり手側とそのやり手を支持する人の為の意義。
それって凄く素敵なことだ。
多様化している社会に適合してる気がする。
ならばもっともっとこんな劇団がたくさんあってもいいのになあ。
丁度夏の夜の夢。
シェークスピアはあの長い困った台詞の端端で
そんな箱の中を賑わせる興行としての演劇というアイロニーを匂わせたのかもしれない。
ちょっとわけわからん文章になったけど。
http://www.interq.or.jp/queen/hanauta/