散歩する惑星
突然で乱暴な発言かもしれないが、
製作った其の作品と其の作り手の関係性というのは如何なる者なのでしょうか?
恋人同志なのでしょうか?
夫婦?親子なのだろうか?
王様と側近?神と天使?
それとも神と民衆?
まあ色々なケースがあるでしょうが、
筆者なんかは己を路傍の石として、そして見えたモノを
描きたいなんて想っております。
もし、作り手を神と設定するのなら、
例えば其処に登場する最も強い権力…
いや力の中心だったり価値体系だったりも
其の作り手は凌駕するという事なんでしょう。
本作における絶対的な価値体系は経済であるとされ、
民衆は貧困に喘ぎ、
やがて来る新世界を待てるもの(もしくは待たざるを得ないもの)は待ち、
そうでないものは未だ見ぬ理想郷へと歩みを進めていく。
人間の滑稽さを浮き彫りにする手法で進められるストーリー。
場面場面で、人間のあらゆる生理や常識との戦いが表現されている様に受け取られる。
しかしとどのつまり「人間とはこんなもんだ」と言っているかのような本作に
現代人の筆者は為す術もなく「何だか判らない」と言ってしまうのだ。
わかったふり、もっと言えば判ったような気にはさせられる。
だが整理がつかない。其処はデフォルメされているにしろ、現代なのに。
メディアがなくなり、極原始的な生活に若干憧れは抱きつつも、
その文明や文明への解釈を消失し、
果たして現代人の筆者は活きていけるのであろうか?と時々考える。
翌朝起床がままなるのかを心配する夜を越えることが可能なのか?
出来るのであろうか?
突然に極原始的な世界での生活を余儀なくされても
対応できるはずがないのではないだろうか。
この「何だか判らない」のが筆者の、いやもしかしたら現代人、いや現代の正体…
もっと言うなら人間なのかもしれない。何となくそう描かれていたように想う。
付け加えると「何だか判らない」なら面白ければいいじゃねえか?
と仰る聡明な方々にも本作では一石を投じているようにも見える。
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