家賃

凄いことが起こった。
先月のある日学生時代に使用していた静岡銀行の口座にお金を振り込んで貰った。
丁度手元にその口座番号の控えしかなく、やむなく取引先に伝えたものだ。
勿論普通にお金が振り込まれ、特に使う予定もなかったから、確認はしたがそのまま放置したわけだ。
それから数日を経て、出金しなくては成らない用事が出来て、コンビニで出金すると
残高が減っている事に気が付く。
さあ驚いた。困った。
早速静岡銀行に電話だ。どうなっているんだ?勿論身に覚えはない。
勿論静岡銀行の静岡のとある支店に電話すると、
窓口に来るようにとのこと。そりゃそうだ。こんな重要なことを電話で済まされるのでは困る。
わざわざ静岡に来なくても、東京駅前に支店があるからそちらへとのこと。
行けば、驚いた。何しろ静岡在住時はもうかれこれ5年ほど前であり、
使ってなかった口座だったから、住所変更が為されてないとのこと。
わかったわかったと変更手続き。さあどうでえ。
「えっと痲酔さん、自動送金の手続きを解除してませんね。」
とのこと。つまりおいら自ら、数年前“定額自動送金”てな手続きをしていて、
それを解除してないとのこったあ。
さあ参ったね。身に覚えがない。送り先は誰?○○さんです。ああその人か・・・
「でもこの手続き痲酔さんの筆跡と違いますから、大家さんが書いたんでしょうね。でも印鑑を着いたのは痲酔さんだと思いますので、間違いないと思いますよ。」
そうそう窓口で聞いた名前は紛れもなく、静岡在住時最後に住んだ下宿の大家さん。
「すいませんけど、連絡先教えてもらえませんかね?」
なんて野暮な事言っても勿論ダメ。当たり前だが、こちとら動転してまして。。。
とりあえず“定額自動送金”は解除だ。
しかし変な話だ。大家さんも振り込まれていたら、教えてくれたらいいのに・・・
実はその下宿、おそらくは私の素行が悪(五月蠅)かったせいか、私は最後の住人だった。
つまりみんな出て行ってしまい、一人で6室あるアパートを独占していたんだ。
で、見かねた大家さん、取り壊し、立て直すから、退去してくれとのこと。
時が重なって、郷里に出戻りとなったから、まあタイミングもいいしってなもんだし
迷惑もかけたから、すんなり応じたというわけだ。
で、口座も使わなくなったし、そのまんまにしちまった流れらしい。
しかし大家さんも自分で登録したんだから、一言言ってくれるか、自分で手続きするかしてくれてもいいんじゃないのかね?
それは甘えかもな・・・
さあ困った!こんだ、こちとら何年も前の出来事で連絡先が解らない。
仕方がないから、下宿を斡旋して貰った東海大学清水校舎に連絡だ。
こんな時のために学生相談室があるんだし、丁度学祭もあったから、静岡にいくべえ
しかし取り壊されたアパートのことだから、資料がない。
調べて貰う内に新手の「オレオレ詐欺」と勘違いされたり、踏んだり蹴ったりだ。
大家さんは女性であるから、世帯主ではないらしく、電話帳にはフルネームでの記載はない。
どうやら、住んでる場所は三保半島であることは間違いなさそうだが、同姓が5世帯あるんだ。
虱潰しに全部電話してみる。3世帯まで絞れた。つまり、不在は三件だけであった。
ここで思いついた。昔の携帯電話・・・つまり機種変する前の携帯にメモリーが残っているかもしれない。
携帯携帯・・・あった!・・・しかし充電器がない。
参ったね。途方に暮れる。やはり残り三件電話するしかないか、申し訳ないけども。
電源の入らない携帯電話を弄りながら、また気が付いた。
丁度手に取っている過去の携帯電話、どうやらDCアダプターで充電できるタイプのようだ。
さあ、残っていてくれよメモリー・・・・あった。しかもその三件の内の一件に該当する。
連絡が付いた。もう怒りは治まっていたから、此方は冷静だ。寧ろ迷惑をかけたなという罪悪感に襲われている。
恐る恐る状況を説明。
事情を聞くと、どうやら大家さん本人は色々な事情でそこら辺に関われなくなっており、
娘さんが取り壊しの頃から引き継いだが、お金の流れまで把握できておらず
手が回っていなかった。先方は悪気は無かったという。
こちとらもう帰ってくれば御の字だから、許すもゆるさないもない。
こちらの確認不足でもあるし、良かった良かった。
無事にお金は戻ってきた。何というか不思議な出来事だ。
様々な偶然が折り重なったこの事件。皆さんはどう思われますか?