ファインディングニモ

ファインディング・ニモ [DVD]
私の古くからの友人で少々若気の至りが過ぎた女性がいる。
度が過ぎて困るというほどではないのだが、私はちょいと離れたところから見ていて心苦しくなったりした時期もあった。
彼女は学生時代、特に遊びやおいたが過ぎるといった程の素行ではなかったが、
どうも“悪っぽい”男を好んでいた。
曰く「私は見た目で男を選ぶから」
だそうで、男運には見放されていた。
やがてまあ年頃となり、20代半ばに無事結婚。
いやいや無事だなんてとんでもない。
夫になってその男との不倫の末の略奪愛が始まりである。
彼女好みの悪っぽいヴィジュアルに妻帯者ときて
ぐっときてしまい・・・ということであろう。
人間はやはりある程度までしか学習の入る余地はないのかもしれない。
夫婦生活は愛に溢れ、二人の子を授かり、となかなか順風満帆に見えたが、
何しろその旦那さんと来たら、彼女と一緒に居たいのでてんで
仕事を辞めちゃった。
で、お金がないから、親と同居となる。
しかもこの場合の親は彼女の実家である。
働かない。
更に実は借金まみれであることが後に発覚。
悪っぽいどころか・・・てなもので、
収入がないから、取り立ては厳しくなり。
幼子を残したまま、二人は離婚。
養育費やら、なにやらは最早滞り・・・お決まりの感じ。
といっても彼女はそこそこ頭の回る女性であるから、
ちゃんと次のことは考えていて、まあぶっちゃけ浮気していたのだが、
早速子二人共々、その男の家に入り込むことをまんまと成功。
今度は真面目に働く彼女の好む“悪っぽい男”ではない。
我々周囲の人間は胸を撫で下ろしたわけだが、
これもやっぱりしくじる。
理由は様々だが、やはり一緒には暮らせなかったモヨオ。
そんな彼女の言いぐさは
「わたしは子供のために生きる」

さて、いよいよ人生における捜し物が定まった彼女。
こうなるとなりふりは構っていられないし、
構う必要はないとなる様子。
これで幸せを手に入れられるかはまた別の話。

捜し物はなんですか・・・と井上陽水さんの「夢の中へ」は謳っているが
捜し物を見付けるってな人生において重要なことのようだ。
本作でニモの親父はなりふり構わず息子を捜すが、
その前の時点でニモを探し当てていて、
そのなりふり構わない態度に息子が逆上し、
本当にニモを見付けなくてはならなくなった。
その美談に海の住人は心を打たれ、協力してもらい
まんまとニモを見つけだす。
更にニモを捜し物登録していた親父は“物扱い”を反省し、
なりふり構うようになるってな話だ。
ただそういった話は一般家庭でもあり得る話だが、
ニモも親父も現代日本に在住しているわけでもないし、
人間でもない。
アフガニスタンやイラクよりも危険が保証された荒海で
カクレクマノミといふ、弱者である。
大海を旅することは死と背中合わせでデンジャラスである。
ということも踏まえ感動したまえ、ニモは稚魚で、片鰭が小さいんだから・・・・
ということかな。
まあそれはいいか。ディズニーっぽくて。
じょにいは怒っていたけれど。
しかし安全と水と空気はロハと思いこんでいる日本にだって危険はあるよ。
幼児の遊ぶ砂場だってサルモネラ菌やらがあるし。
というのも解るが、それもまあいいか・・・
しかしそれもいいか・・・とやっていくと見るところがなくなってしまう。困ったものだ。
だからまあズラズラだらだら書き連ねてきたけど、
結局の所この映画そういった主題にはあまり興味が湧かない。
勿論映像的な素晴らしさとかもそうだけど、
キャラかな・・・
“魚断食”を決め込んだサメの皆さんもいいなあ。
物忘れが激しい同行した娘もいい。
現に
ニモを探す親父にどれだけあの物忘れが勇気を与えたか。
彼女が物忘れだったために親父は頑張ったし、
少し気が楽になったであろう。
しかしもしも本当にニモが見つからなかったらあの親父は
その感謝すらしてないのだとすると、それはどうなのかなあ。
いや見つかった現在でも
「あの人はいい人だけど物忘れがなあ」
と物忘れをやや馬鹿にした態度で接しているとしたら、
何だか解せない。
まあそれすらも忘れてしまう彼女のことだ。
何とも粋な計らいである。
実際の生活において、粋な他の協力者たちを己を主人公とした人生で感謝することはとても難しいことかもしれない。
私も深く反省する次第である
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